腰痛を発症するのは人間だけ?その理由は?

目次

なぜ多くの人が腰痛持ちなのか?

腰痛は非常に一般的であり「Spine(脊椎)」ジャーナル」の2006年の研究によると、アメリカ人の26%が3か月以内に少なくとも1日の頻度で腰痛を報告しています。「リューマチ疾患年代」ジャーナルの2014年の研究によると、腰痛が世界における障害の最も主要な原因です。

腰痛の最大の原因

では、なぜ人間はそれほど多くの腰痛を抱えているのでしょうか?ダートマス大学の古人類学者であるジェレミー・デシルバ氏は「我々は2足歩行するからです」と語ります。「人間が直立して歩き始めるようになる前、哺乳類の祖先は数千万年、さらには数億年もの間、4本の足で走り回っていました」と、彼はLiveScience誌に語りました。4つ足の哺乳類は、吊橋のように機能する水平の背骨によって胴体を支えています。

「約700万年前、人間の祖先は直立姿勢をより進化させました」と、デシルバ氏は言います。背骨は垂直になり、両足で動き回ることができるようになりました。なぜ人間が二足歩行に進化したのかについて専門家の意見は分かれますが、主要な理論の一つにこの進化がジャングルからサバンナへ生息地の移行に役立ったというものがあります。この適応は今日の人間の繁栄を助けましたが、いくらかの代償も伴いました。

「一般に、進化というものは既存の解剖学的構造と既存の形態によって機能するのですが、二足歩行に関する進化によって脊椎の構造は大きく変化しました」と、デシルバ氏は述べます。「二足歩行は我々に十分なメリットを与えました。最大のメリットは、我々が今日まで絶滅せず生き永らえることができている事実です。ただ、残念ながら、メリットがあるからと言って、我々が問題とは無縁であるいう意味ではありません。進化は生き残るのに十分なだけで、必ずしも快適性につながらないということを意味するのです。」

脊椎のコーヒーカップ構造

オハイオ州のケース・ウエスタン・リザーブ大学の自然人類学者であるブルース・ラティマー氏は、脊椎を「積み重ねられたコーヒーカップ(脊椎)とソーサー(脊椎の間の椎間板)が互いにバランスを取り合っている状態」だと表現します。ほとんどの人には、積み上げられた24個カップと、カップの間にはさまれた23個の椎間板があります。加えて、靭帯と筋肉がこの積み木構造を安定させるのに役立っていますが、垂直であるがゆえ椎間板が容易に滑りやすくなる傾向があります。

「この構造を持つ唯一の哺乳類は、我々が知る限り人間だけです。我々は年をとるにつれて、連続する各椎骨の上に重みがかかるだけでも椎骨が自然に骨折を起こす可能性すらあります」と、デシルバ氏は言います。

背骨のS字カーブ

人間の背骨の自然な生理的弯曲も、時に問題を引き起こします。脊椎は体重のバランスを取り柔軟性を保ち、産道の閉塞を回避するために湾曲しています。しかし、このカーブに、ストレートネックや頸椎リバース・カーブ、脊柱側弯症(脊椎の横方向の湾曲)などの異常カーブが発達する可能性があります。デシルバ氏によると、これらの異常なカーブによって脊椎が骨折することもあります。

先進国の現代的な生活も腰痛の大きな原因です。体幹の筋肉は背骨を安定させますが、多くの人は体幹が弱いです。「一日中、デスクワークによって腰をかがめ、腰の筋肉を動かしていないと、腰痛を引き起こしやすくなります」とデシルバ氏は語ります。

「腰痛には複数の要因がありますが、結局のところ、進化が主な原因です」と、デシルバ氏は言います。1983年のAmerican Journal of Physical Anthropologyの研究によると、有名なアウストラロピテクスのルーシーを含め、我々の古代の祖先も腰の問題を抱えていたといわれています。

ダチョウも腰痛になる!?

ただ、2本足の全生物が人間のように腰痛があるわけではありません。ダチョウなどの一部の大型の陸生鳥は、ほとんど問題なく2本の手足を直立して歩きます。

「私が知る限り、ダチョウはカイロプラクターにお世話になる必要はありません」とデシルバ氏は言います。ダチョウに腰痛が起きない理由の1つは、鳥の背骨が垂直よりも斜めになっているため、コーヒーカップとソーサーの積み木構造ではなく、吊り橋として機能することができるためです。ダチョウはまた、高機能な背骨を進化させるためにかなり多くの時間を持っていました。「彼らは私たちよりも約2億年早く先行スタートを切りました」と、デシルバ氏は述べます。「二足歩行の骨格に関して言えば、我々、人間は新入りの子供たちのようなものです。」

〔※編集注:この記事は情報提供を目的としたものであり、医学的アドバイスではありません。個別のケースにつきましては医師にご相談ください。〕

引用元
https://www.livescience.com/why-humans-back-pain

監修・まとめ

藤原 邦康
カイロプラクティック・オフィス オレア成城 院長
米国公認ドクター・オブ・カイロプラクティック
一般社団法人日本整顎協会 理事
カリフォルニア州立大学卒業
カリフォルニア州立大学(映画専攻)卒業後、CG映像の制作に携わった後、米国ライフウェスト・カイロプラクティック大学へ転進。2004年 米国ライフウェスト・カイロプラクティック・カレッジ卒業2006年 カイロプラクティック・オフィス「オレア成城」開院。2016年日本整顎協会設立。
顎関節症に苦しむアゴ難民の救済活動に尽力。噛み合わせと瞬発力の観点からJリーガーや五輪選手などプロアスリートのコンディショニングを行なっている。格闘家や芸能人のクライアントも多数。

【メディア取材】
「あさイチ」(NHK)、「とくダネ!」(フジテレビ)、「Tarzan」(マガジンハウス)、「からだにいいこと」(祥伝社)、「日刊SPA!」( 扶桑社)、「おはスタ」(テレビ東京)ほか

【執筆】
サライ(小学館)
「自分で治す!顎関節症」(洋泉社)Amazonベストセラー1位
「体の理を生かすカイロプラクティック」(科学新聞社)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次