頭痛はなぜ起きる?
頭痛は一般的に炎症や緊張などによって起こります。一方、片頭痛はより複雑なレベルで神経を刺激します。

ほとんどの人に頭痛の経験があります。例えば、一日中コンピューターの画面を見た後にこめかみ周りの硬直が起きて肩こりにつながり頭痛を発症する可能性もあります。他には、副鼻腔など感染症や春の花粉症による顔面痛から頭痛が起きる可能性もあります。ストレスも一般的な頭痛の原因ですが、睡眠不足や食事を抜くこと、アルコール接種から、頭痛につながる可能性もあります。これらの要因が、頭痛を起こす可能性がありますが、実際に痛みを引き起こすメカニズムは何でしょうか?
一般的な頭痛
頭痛といっても、痛みは脳から感じているわけではありません。脳には痛みの受容体がないからです。したがって、外科医は意識を保っている患者の脳を刺激し、患者が何を経験しているのかを尋ねることもできます。実は、これが研究者が脳をマッピング(地図を作成)することができた手法です。
一方、頭の残りの部分には、痛みの受容体(正式には侵害受容器)があります。また、何かが損傷している可能性があるというメッセージを脳に送り返す非常に小さな神経線維も詰まっています。頭蓋骨の内側と外側の両方、および脳を包む膜、頭と首に侵害受容器があります。そして、静脈や神経にも痛みの繊維があります。
では、何が痛みの繊維を刺激するのでしょうか?例えば、車庫を掃除した後に背中を痛めたりランニング後に膝を痛めたりすることがありますね。頭痛もそれと同様の仕組みで起きるのです。つまり、炎症です。 「コンピューターの画面を見つめているときに、長時間、首の筋肉が伸ばされます。ストレスによって筋肉が硬直しているときも、筋肉に痛みを示す炎症が起きるため、頭蓋骨の周りに緊張型頭痛を生じたり肩こりを起こしたりすることがあります。」とヴァンダービルト大学医療センターの神経内科長であるDr.デイン・チェトコビッチは言います。
頭痛が感染によって引き起こされる場合も、同様のメカニズムが関与しています。例えば、副鼻腔の感染症は、炎症が副鼻腔の内壁の痛みの神経繊維を刺激する可能性があります。また、細菌感染症の場合は、細菌によって放出された毒素が神経繊維を刺激する可能性があります。しかし、それはすべて、痛みの繊維への刺激として帰着します。あなたの脳はそれを「痛み」として解釈し、あなたはそれを頭痛と呼びます。
通常と異なる頭痛
ストレスによる頭痛に加えて、多くの人が最も残酷な(そして悪名高い)頭痛である片頭痛に苦しんでいます。片頭痛は、実際、ほとんどの頭痛の法則に反しています。もしかしたら、片頭痛を「頭痛」と呼ぶのは間違っているかもしれません。
片頭痛は通常の頭痛と異なる様々な非常に不快な症状を引き起こす可能性があります。症状には、めまい、吐き気、光の点滅やかすみ目などの視覚障害、光、音、嗅覚に対する過敏症が含まれます。片頭痛の場合、これらの厄介な症状だけで、いわゆる「頭痛」を引き起こさないこともあります。これらはしばしば「サイレント片頭痛」と呼ばれます。
一部のメカニズムは、片頭痛でも他の頭痛でも同じです。 「片頭痛でも、頭蓋骨の内側または外側の髄膜または血管に炎症が起きています。」と、Dr.チェトコビッチは説明します。しかし、次のような違いがあります。「片頭痛の炎症は過使用によるものではないのです。」と彼は言います。 「影響を受けやすい特定の人々に痛みを引き起こす遺伝的および環境的変化によって、片頭痛は引き起こされます。」
何が頭痛を起こすのか?
いずれにしても、実際に痛みを引き起こすのは何でしょうか?片頭痛の場合の奇妙な症状は何によって起きているのでしょうか?アメリカのシアトルにあるワシントン大学メディカルセンターの神経学名誉教授であるDr.シルビア・ルーカスは、片頭痛についてはまだ解明されていないことがたくさんあると述べます。しかし、どうやら次に挙げることが原因であると推測されます。脳を包む膜には、太くて複雑な三叉神経のような神経が通っています。これらの神経は、侵害受容器を活性化する可能性のあるさまざまな化学物質を放出します。すると、神経は脳にメッセージを送ります。脳はメッセージを「痛み」として、より具体的には「片頭痛」として受け取るのです。
ただ、他の頭痛と異なり、片頭痛に関しては話はそれほど単純ではありません。遺伝的素因のある人では、緊張性頭痛が片頭痛に発展する可能性があります。「それは非常に奇妙です」とDr.チェトコビッチは言います。 「首のこわばりから始まり、その後、脳が刺激されて、周期的な血管の炎症を引き起こします。」
働きすぎて、首が緊張し片頭痛が始まることがあるわけです。逆に、片頭痛のプロセス全体が脳自体から始まることもあります。片頭痛はチャンネル由来であるとDr.ルーカスは言います。イオンチャネルの機能不全に起因する病気なのです。これは脳内の電気信号が常に適切に機能するとは限らないことを意味し、文字通り頭痛の種になる可能性があるのです。
〔※編集注:この記事は情報提供を目的としたものであり、医学的アドバイスではありません。個別のケースにつきましては医師にご相談ください。〕
引用
https://www.discovermagazine.com/health/whats-really-going-on-when-your-head-aches
監修・まとめ
藤原 邦康
カイロプラクティック・オフィス オレア成城 院長
米国公認ドクター・オブ・カイロプラクティック
一般社団法人日本整顎協会 理事
カリフォルニア州立大学卒業
カリフォルニア州立大学(映画専攻)卒業後、CG映像の制作に携わった後、米国ライフウェスト・カイロプラクティック大学へ転進。2004年 米国ライフウェスト・カイロプラクティック・カレッジ卒業2006年 カイロプラクティック・オフィス「オレア成城」開院。2016年日本整顎協会設立。
顎関節症に苦しむアゴ難民の救済活動に尽力。噛み合わせと瞬発力の観点からJリーガーや五輪選手などプロアスリートのコンディショニングを行なっている。格闘家や芸能人のクライアントも多数。
【メディア取材】
「あさイチ」(NHK)、「とくダネ!」(フジテレビ)、「Tarzan」(マガジンハウス)、「からだにいいこと」(祥伝社)、「日刊SPA!」( 扶桑社)、「おはスタ」(テレビ東京)ほか
【執筆】
サライ(小学館)
「自分で治す!顎関節症」(洋泉社)Amazonベストセラー1位
「体の理を生かすカイロプラクティック」(科学新聞社)