自覚できない、睡眠時無呼吸症と歯ぎしり
睡眠時無呼吸症、心臓病や糖尿病のリスクを高める可能性のある病状を持っていると最初に気づくのはあなたの歯医者さんかもしれません。

いびきは睡眠時無呼吸の最も一般的な兆候と症状の1つですが、絶対的な傾向であるとは言えません。閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)の人の中にはいびきをかかない人もいますし、一人暮らしのためいびきをかいているかどうかわからない人もいます。結局、私たちは眠っている間に何をしているのか自覚していません。
歯科医師の場合は、定期的な歯科検診中に、歯ぎしりの兆候(磨耗、ひび割れ、欠け、または予期せず緩んだ歯)に気付くことがよくあります。歯ぎしりは、しばしば睡眠時無呼吸に関連していることが研究によって明らかになっています。
歯ぎしりと睡眠時無呼吸症の関係性
2009年に最初に発表された研究によると、閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)と診断された人の約4人に1人が、夜間の歯ぎしりにも苦しんでいます。OSAの男性は、女性よりも夜間の歯ぎしりをする可能性が高く、白人は他の民族グループの個人よりも両方の症状を同時に抱えている可能性が高いことが分かりました。
歯科医師、医師、科学者は、歯ぎしりと睡眠時無呼吸が関連している理由を完全に説明することはできていませんが、いくつかの理論があります。睡眠時無呼吸症は不安やストレスなど気分障害を引き起こす可能性があり、歯ぎしりの原因となる可能性を研究者は指摘しています。一部の人々では、睡眠時無呼吸症が不安を引き起こし、それが次に歯ぎしりを引き起こす可能性があります。
別の理論では、歯ぎしりは睡眠時無呼吸によって引き起こされる低酸素状態から心身を奮い起こすための体の努力の跡であることが示唆されています。この理論は、患者が睡眠中の呼吸停止から覚醒するときに起こる歯の食いしばりについての臨床睡眠研究による指摘から裏付けられています。研究者が、患者の睡眠時無呼吸を持続陽圧呼吸療法(CPAP)による治療し、睡眠中の気流と酸素レベルを調整したところ、歯ぎしりは事実上なくなりました。
睡眠時無呼吸と歯ぎしりは常に関連しているわけではないことには注意することが重要です。歯ぎしりをする人の多くは睡眠時無呼吸症がなく、また、睡眠時無呼吸症の人の多くは歯ぎしりをしません。しかし、つながりは十分に強く、かかりつけの歯科医師がその兆候に気づいたら歯ぎしりと睡眠時無呼吸症との関連性の可能性について考えるべきです。睡眠時無呼吸症の完全な医学的精密検査が必要な場合があります。
歯ぎしりと睡眠時無呼吸症のマウスガード
マウスガード(マウスピース)を購入して、歯科医またはオンラインで歯ぎしりを止めることができます。ただし、睡眠時無呼吸と診断された場合でも診断されていない場合でも、歯ぎしりを防ぐように設計されたマウスガードが事態を悪化させる可能性がありますから注意してください。これらのマウスガードのいくつかは、夜間に下顎の動きを抑えます。睡眠時無呼吸症がある場合、下顎の位置によって、夜間の呼吸停止の増加と低酸素レベルにつながる可能性があります。
一部の特別に作られたマウスガードは、歯ぎしりと睡眠時無呼吸症の両方を治療できる場合があります。これらのガードは、睡眠中に下顎を前方に固定することによって上気道の閉塞を防ぎ、上下の歯が互いに接触するのを防ぎます。ただ、これらのマウスガードは軽度の睡眠時無呼吸症には最適ですが、重症例を効果的に治療できない可能性があります。中等度から重度の睡眠時無呼吸症と歯ぎしりの場合は、CPAP治療の恩恵を受ける可能性があります。
効果的な治療オプションについては、かかりつけの医師や歯科医師にご相談ください。
〔※編集注:この記事は情報提供を目的としたものであり、医学的アドバイスではありません。個別のケースにつきましては医師にご相談ください。〕
引用元
https://www.healthgrades.com/right-care/oral-health/teeth-grinding-may-signal-sleep-apnea
監修・まとめ
藤原 邦康
カイロプラクティック・オフィス オレア成城 院長
米国公認ドクター・オブ・カイロプラクティック
一般社団法人日本整顎協会 理事
カリフォルニア州立大学卒業
カリフォルニア州立大学(映画専攻)卒業後、CG映像の制作に携わった後、米国ライフウェスト・カイロプラクティック大学へ転進。2004年 米国ライフウェスト・カイロプラクティック・カレッジ卒業2006年 カイロプラクティック・オフィス「オレア成城」開院。2016年日本整顎協会設立。
顎関節症に苦しむアゴ難民の救済活動に尽力。噛み合わせと瞬発力の観点からJリーガーや五輪選手などプロアスリートのコンディショニングを行なっている。格闘家や芸能人のクライアントも多数。
【メディア取材】
「あさイチ」(NHK)、「とくダネ!」(フジテレビ)、「Tarzan」(マガジンハウス)、「からだにいいこと」(祥伝社)、「日刊SPA!」( 扶桑社)、「おはスタ」(テレビ東京)ほか
【執筆】
サライ(小学館)
「自分で治す!顎関節症」(洋泉社)Amazonベストセラー1位
「体の理を生かすカイロプラクティック」(科学新聞社)