顎関節症と頭痛の関連性

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概要

顎関節症は、頭痛を引き起こす可能性があります。頭痛がTMJに影響を与える症状を引き起こす可能性示す証拠もあります。

顎関節症は、アゴの関節と筋肉と関係しており、口周りや顔の痛みや不快感に加え、顎関節の可動性を減少させる可能性もあります。顎関節症を抱えている人の多くは、関連症状として頭痛を経験します。また、人によっては、頭痛が顎関節症を引き起こす可能性があります。

では、顎関節症と頭痛の関係および、いくつかの治療オプションについて解説しましょう。

顎関節症は頭痛を引き起こす可能性がありますか?

顎関節症と頭痛の間には関連性があると考えられています。例えば、2015年の研究では、頭痛が顎関節症の主な症状の1つであることが分かりました。

また、2017年の信頼できる研究によると、頭痛と顎関節症は同時進行する可能性があります。人によって、頭痛が顎関節の痛みを強めたり、顎関節の痛みが頭痛を引き起こしたりと別の反応が起こると著者は述べています。

アメリカの片頭痛財団も同様の調査結果を報告しています。頭痛は顎関節症に起因する可能性があり、頭痛が顎関節または関連する筋肉に痛みを引き起こす可能性があると述べています。

2019年の調査で研究者ちは、頻繁な頭痛を引き起こす原因となる顎関節症について確認しました。また、頭痛と顎関節症の両方を治療することが、症状を軽減するための最も効果的な方法であることを発見しました。

しかし、2019年の信頼できる別の調査では、頭痛と顎関節症との間に関連性は見られず、異なる結果が得られました。著者らは、2つの関係を決定するためにさらに研究が必要であると結論付けています。

その他の症状

顎関節症の症状は発症したり治まったりを繰り返すこともあります。また、前触れがなくても突然、顎関節症を経験することもあります。

2015年の調査によると、顎関節症は以下のような関連症状を引き起こします。

アゴの痛み
アゴの開閉が難しい
咀嚼時の痛み
耳の痛み
頭痛
顔面の痛み

ただし、上記の症状は、耳の感染症や顔面への打撃など、他の症状や外傷によっても発症する可能性があります。

国立歯科・頭蓋顔面研究所(NIDCR)は、顎関節症の他の関連症状を含めています。

アゴの筋肉のこわばり
アゴ、首、顔面への関連痛
歯のかみ合わせの変化
アゴの可動域の減少
開口障害
開閉口時のクリック音(捻髪音)、歯ぎしり

顎関節協会では顎関節症の人が経験することがある以下の症状を挙げています。

視力障害
アゴの筋肉のこわばり
めまい
かみ合わせの不具合

原因

顎関節症にはいくつかの潜在的な原因があります。米国歯科医師会(ADA)は以下を挙げています。

ストレス
歯ぎしり
アゴの脱臼
外傷
歯と顎のずれ
関節炎

顎関節協会は以下を含む、他の原因を示唆しています。

手術時の気管チューブ挿入
歯科治療
感染症
自己免疫疾患

顎関節症の正確な原因は明確ではありません。

処置について

顎関節症の痛みは、軽度から重度までさまざまです。国立歯科頭蓋顔面研究所は、顎関節症の多くについて、医師が保守的および非侵襲的な治療法を選択することを勧めています。

具体的な推奨事項は次のとおりです。

市販の鎮痛剤
非ステロイド性抗炎症薬
安定化スプリント・バイトガードなどのマウスピース治療

一部の在宅療法も症状の緩和に役立つ場合があります。米国歯科医師会は、以下の自宅療法が有効であると述べています:

やわらかい食べ物の食事
ガムや爪を噛んだりしないこと
アゴを強化運動またはストレッチ
リラクゼーション法の実践
温熱パックの使用

重症の場合は、筋弛緩薬が選択肢であると付け加えています。手術は多くの場合で最終手段だと見なされ、重度の顎関節症の人のために手術を予約します。

顎関節症に対する外科的処置としては、顎関節のクリーニングまたは調整などの低侵襲技術から、全開(フルオープン)関節手術または関節置換術まで多岐にわたります。

外科手術は、永久的な損傷を引き起こすリスクがあるため、必ずしも顎関節疾患のための最善の解決策では言えないと国立歯科頭蓋顔面研究は警告しています。その他の考えられる合併症として、置換した関節の破損や機能不全が含まれます。

いつ医者に相談すべきか?

顎関節症や頻発する頭痛を経験したら、医師に相談してください。医師は顎関節症がアゴ周辺の痛みや顔面痛、頭痛などの痛みの原因であると診断される可能性があります。

治療しても症状が治まらない場合は、その旨を医師に伝えることが重要です。より効果的に痛みを管理するための追加療法を医師が勧めることができる可能性があります。

概要

頭痛は顎関節症の関連症状である可能性があります。逆に、頭痛が顎関節症を引き起こしている可能性もあります。つまり、顎関節症と頭痛の関係は双方向である可能性があります。この関係性について、より深く理解するには更に研究が必要です。

頭痛に加えて顎関節症もある人は、アゴのこわばりや痛みを経験する可能性があります。温存治療のアプローチには、鎮痛剤、運動、および温湿布が含まれます。

(Dr.アンジェリカ・バリンギットによる医学的レビュー)

〔※編集注:この記事は情報提供を目的としたものであり、医学的アドバイスではありません。個別のケースにつきましては医師にご相談ください。〕

引用元
https://www.medicalnewstoday.com/articles/tmj-headache

監修・まとめ

藤原 邦康
カイロプラクティック・オフィス オレア成城 院長
米国公認ドクター・オブ・カイロプラクティック
一般社団法人日本整顎協会 理事
カリフォルニア州立大学卒業
カリフォルニア州立大学(映画専攻)卒業後、CG映像の制作に携わった後、米国ライフウェスト・カイロプラクティック大学へ転進。2004年 米国ライフウェスト・カイロプラクティック・カレッジ卒業2006年 カイロプラクティック・オフィス「オレア成城」開院。2016年日本整顎協会設立。
顎関節症に苦しむアゴ難民の救済活動に尽力。噛み合わせと瞬発力の観点からJリーガーや五輪選手などプロアスリートのコンディショニングを行なっている。格闘家や芸能人のクライアントも多数。

【メディア取材】
「あさイチ」(NHK)、「とくダネ!」(フジテレビ)、「Tarzan」(マガジンハウス)、「からだにいいこと」(祥伝社)、「日刊SPA!」( 扶桑社)、「おはスタ」(テレビ東京)ほか

【執筆】
サライ(小学館)
「自分で治す!顎関節症」(洋泉社)Amazonベストセラー1位
「体の理を生かすカイロプラクティック」(科学新聞社)

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