顎関節の痛みに対する歯科的なアプローチについてご案内します。
顎関節症によって臼歯にひびが入って摩耗している場合は、歯科治療を受ける必要があると思うでしょう。頻繁に頭痛が起きると頭痛薬を服用する必要があると思うでしょう。でも、どちらの措置も必要ないかもしれません。

臼歯の摩耗、頭痛、アゴのズレ、首や肩の痛みなどの症状は、顎関節症によって起きる可能性があります。これら一連の障害は顎関節の機能障害との関連が考えられ、気道の開きにも英異教している可能性があります。
顎関節症についてさらに理解するために、歯科医師のDr.メアリー・バーンズの話を引用します。Dr.バーンズはハーバード大学とボストン大学の学部に所属し、顎関節症について国際的に講義活動をしています。Dr.バーンズは歯科(歯と顎)システムへのウェルネス・アプローチ(運動・食生活の改善)について開業医をトレーニングしています。
Dr.バーンズによると、顎関節症はアゴ、首、歯の痛みだけでなく、深刻な健康問題につながる可能性があります。さらに、顎関節症は睡眠障害、咀嚼困難、耳の痛み、顔面の片側の腫れ、めまい、難聴などを含む他の合併症を引き起こす可能性があります。「正しく対処しないと、人は顎関節症によって衰弱してしまう可能性があります」とDr.バーンズは述べています。
顎関節症への対処法
「従来、歯科医が患者を治療する方法は病理学に基づいていました。つまり、問題を抱えて来院した患者が症状を訴え、歯科医はそれらの問題に対処します」とDr.バーンズは語ります。
例えば、歯根破折が見つかれば歯科医はその歯を治療します。ただし、このアプローチでは、歯根破折の根本原因を見つけることを怠る可能性があります。
「現在では、患者の治療を検討する方法は、包括的な観点から頭から首まで患者を評価することとされています」とDr.バーンズは言います。このアプローチの鍵は、病理学ではなく健康に焦点を当てることだと彼女は説明します。
ウェルネス(健康)に焦点を当てた方法で顎関節症を評価するためにDr.バーンズは次のようなアプローチを取ります。「まず、患者の頭と首を3次元で測定し、噛む位置がずれている箇所について評価してから、咬合を正しく修正します。歯科治療に加え、歯列矯正が必要な場合もあります。場合によっては、口腔外科の手術を伴うこともあります。我々は、患者さんを生物学的に最も最適な状態に戻したいと考えています。簡単な処置ではなく、時間がかかる治療プロセスです。」
生物学的に最適な状態を取り戻すためには、顎関節と気道の関連性にも注意を払う必要があります。「過去10年間で得られた結論としては、気道に障害が発生すると人は無意識のうちに歯を食いしばり歯ぎしりをして気道を広げようとしているということです」とDr.バーンズは述べています。
食いしばりと歯ぎしりは歯を損傷する可能性があります。「何年にもわたって、歯科医は呼吸に関わる本質的な問題の解決策ではなく、歯を安定するための解決策を見つけようとしました」と彼女は言います。
治療の最初のステップは顎関節と首を整えるだけでなく、気道をサポートするカスタムメイドのマウスピースを作成することです」とDr.バーンズ博士は述べます。「その治療を終えたら、気道を再評価します。」
Dr.バーンズによると、マウスピース治療で十分な場合もあるとのことです。ただ、歯列矯正やアゴの手術さえも必要とする骨格の問題を抱えている場合もあるとDr.バーンズは個人的な経験から語っています。実は、彼女自身がアゴの手術を受けて顎関節症が解消され、夜間にCPAPを装着して睡眠を取る必要がなくなったのです。
「顎関節症の治療に関して高度な訓練を受けた歯科医師の割合はごくわずかです」とDr.バーンズは言います。「歯は見栄えだけではありません。歯は体を正しく機能させる身体システムの一部です。体の最も重要な機能は頭と首の配列に直接関わっており、歯とアゴの動きによって影響を受けるのです。」
〔※編集注:この記事は情報提供を目的としたものであり、医学的アドバイスではありません。個別のケースにつきましては医師にご相談ください。〕
引用元
https://lancasteronline.com/sponsored/that-pain-in-your-neck-may-be-coming-from-your-jaw-learn-about-tmd-pain/article_8ee9904a-6a23-11eb-a67f-53933ba16ee6.html
監修・まとめ
藤原 邦康
カイロプラクティック・オフィス オレア成城 院長
米国公認ドクター・オブ・カイロプラクティック
一般社団法人日本整顎協会 理事
カリフォルニア州立大学卒業
カリフォルニア州立大学(映画専攻)卒業後、CG映像の制作に携わった後、米国ライフウェスト・カイロプラクティック大学へ転進。2004年 米国ライフウェスト・カイロプラクティック・カレッジ卒業2006年 カイロプラクティック・オフィス「オレア成城」開院。2016年日本整顎協会設立。
顎関節症に苦しむアゴ難民の救済活動に尽力。噛み合わせと瞬発力の観点からJリーガーや五輪選手などプロアスリートのコンディショニングを行なっている。格闘家や芸能人のクライアントも多数。
【メディア取材】
「あさイチ」(NHK)、「とくダネ!」(フジテレビ)、「Tarzan」(マガジンハウス)、「からだにいいこと」(祥伝社)、「日刊SPA!」( 扶桑社)、「おはスタ」(テレビ東京)ほか
【執筆】
サライ(小学館)
「自分で治す!顎関節症」(洋泉社)Amazonベストセラー1位
「体の理を生かすカイロプラクティック」(科学新聞社)