顎関節症とボトックス注射の後遺症

目次

顎関節症への神経毒注射

顎関節症を治療するためにボトックス系の注射を受けた女性(24)は、笑顔を完全に失ってしまいました。十分に口を広げることができなくなり痛みが悪化したことを明らかにしました。

フロリダ州の24歳、モンタナ・モリスさんは、ディスポート注射の2か月後に撮影したTikTokビデオで容態について語ったところ、その内容が広く拡散されました。ディスポートとは、ボトックスに含まれる神経毒の別ブランドです。モンタナさんは、顎関節症を治療するために、頬にディスポート注射を打ったと言います。しかし、間違った場所への過剰注射によって、うまく笑うことができなくなり、一時的に顔の筋肉が麻痺してしまいました。モンタナさんは、麻痺から筋萎縮を苦しむようになり、以前よりも痛みを感じていると付け加えます。

笑顔の喪失

「約2か月前、ボトックスによって私の笑顔は完全に台無しになりました。」と彼女は説明します。彼女は神経毒の別ブランドであるディスポート注射を受けたと話します。

麻痺はひどく、ほとんど口を開けることができなくなりました。「最初は、回復するまで話すつもりはなかったのですが、目の症状で私と同じような経験をした人の投稿を目にしたことで気持ちが変わりました。」

話の中で触れているのは、医療スパでボトックスを受けた後にまぶたが下垂してしまったインフルエンサー、TikTokerのホイットニー・ブハさん(34)のケースです。

つらい体験をシェア投稿

シカゴを拠点とするホイットニーさんの場合、目の周りの下垂から視力障害を患いました。さらに、代償作用として、もう一方の目が突出してしまった体験を彼女は語りました。

ホイットニーさんの動画を観て、モンタナさんは同じような被害が広がらないように自分の体験を他者に共有することを決意しました。

「投稿することによって、これ以上、誰も被害を受けないように、私の経験が役立てば気分も晴れます」と、彼女は注射以前の笑顔がどうだったか、写真をシェアして言います。

「元々、えくぼが自慢の笑顔でしたが、顎関節症を患ってしまったのです。医師に相談したところ、咬筋にボトックスを入れるように勧められました。」「結局、間違った場所に過剰な注射を受け、顔の筋肉がすべて麻痺しました。」

モンタナさんはそれからカメラに向かって、前歯も見えず少ししか微笑むことができなくなったかを示しました。

バズ投稿 440万回再生

モンタナさんのビデオは、わずか2日間で440万回以上視聴され、何千もの同情的なコメントが寄せられました。投稿者たちは、決して注射自体が問題ではなく、不適切な注射によって神経毒が笑顔を台無しにしてしまったのではないかと示唆しています。

「ボトックス自体の問題ではなく、注射の仕方に問題があったと認識しています」と、彼女は、別のTikTok投稿でも述べています。 「状況について正確に伝えられず誤解を与えてしまったかもしれません。200万人以上の人たちが私の投稿に関心を寄せてくれるとは、投稿前にはまさか思いませんでしたから…。」

「私は過去に医療スパなどでボトックスの効果を体験してきました。だから、ボトックスを敬遠する人が増えないように願っています。ボトックス注射から恩恵を受けられる可能性があるからです。」と彼女は付け加えました。「私はただ、リスクもあることを知ってほしいだけなのです。」
「状況は改善していますが、心が傷ついた経験を他の人には味わってほしくないのです」とTikTokerの彼女は言います。

モンタナさんは、2年前に顎関節症(痛みを伴うアゴの障害)を発症し始め、アゴが完全にこわばった状態で目覚めることがあると語ります。彼女は、治療の選択肢としてボトックス注射を受け始めてから、2週間ずっとアゴがこわばっていたと言います。特別割引に惹かれて1月21日にディスポートの注射を受けました。

不適切な注射

しかし、注射の担当者は単位の測定値を適切に変換せず、口がほとんど麻痺した状態になりました。

「注射を打った人物は、1~2週間以内で症状が落ち着くだろうと言いました。でも、その後4日も立たないうちに顔がこわばり、悪い予感がしました。」と、彼女は回想します。

「口の幅は短くなり始めています。微笑むと歯がだんだん少なく見えてきました。それが最初に気づいたことです。その後、自慢のえくぼはほぼ完全に消えました。

モンタナさんは、医療スパでボトックス注射を受けてまぶたが垂れ下がってしまったかことを告白したインフルエンサーのホイットニー・ブハさん(34歳)から、体験を共有するように促されました。

目覚めたら、左目の視力障害を補うために右目が突出してしまっていたホイットニーさんは回復の記録を記しています。

「私の顎関節症の場合は、まだマシです。治療後すぐにアゴのこわばりが緩和され、ずいぶん緩みました。ただ、以前よりもはるかに痛みが増しています。」と、彼女は付け加えました。 「麻痺になって以来、重度の筋萎縮を患っており、特定のものを噛むことが以前より困難になりました。」

フォロー動画で、モンタナさんは顔の注射の直後に微笑もうとしている写真を共有し、ほとんど口を開けることができなくなったと投稿しました。「状況は改善していますが、ずいぶん自信喪失しました。こんな体験は誰にもしてもらいたくありません。」と、彼女は言います。

笑顔はまた戻る

幸いなことに、ディスポートもボトックスもその効果は一時的なものであり、3〜4か月で消え始めます。つまり、モンタナさんは夏ごろには笑顔を取り戻せるでしょう。 モンタナさんは、TikTokフォロワーの温かい支援に感謝しています。「みんな、親切で温かいコメントを寄せてくれて、本当にありがとう!」と彼女は言います。

「本当に感謝しています。TikTokでは、投稿によっては、厳しく心もとない反応が返ってきますし、全く違った展開になっていてもおかしくありませんでしたから。」

ビデオの中で、モンタナさんは自分の顎関節の症状を公開しようと思ったのは、ホイットニー・ブハさんがTikTokで目の症状について話しているのを目にしたからだと述べています。約2年前から顎関節症が始まったと言います。当初、症状は非常に軽いものでした。ところが、突然、朝起きたらアゴがこわばって動かなくなり、こわばりが一日中続くのではないかという感じになってきました。その後、実際にこわばりが2週間続くようになったので、ボトックス注射を受けることを決意しました。

顎関節症治療の選択

モンタナさんは次のように述べています。「医師は以前に筋弛緩薬を処方しましたが、効果がなかったため、アゴの外科手術に代わる選択肢としてボトックス注射を勧めました。注射の後、1~2週間以内に効果が現れると話していました。 しかし、顔が3~4日ほどで固まってしまい、悪くなる予感がしました。「口の幅が狭くなり始めました。最初に気づいたのは、微笑んだときに見える歯が数だんだん少なくなったことです。その後、えくぼがほぼ完全に消えました。顎関節症は改善しました。治療後すぐにこわばりが抜けて口が開くようになり、開口制限も緩和しましたが、以前よりも驚くほど痛みが増しています。麻痺からかなりの筋萎縮が起こり、特定のものを噛むことが以前よりも難しくなりました。」

1月21日に治療を受けた後に改善は見られるものの、モンタナさんは回復が遅いと感じています。何が悪かったのかと尋ねられ、モンタナさんは次のように答えています。「ボトックスの新ブランドであるディスポートには割引がありました。それで注射を受けることを決めました。ディスポートの3ユニットはボトックスの1ユニット分に相当するという話でした。私は、ボトックス15単位分の咬筋への注射には同意しました。ところが、ディスポート相当分へ正しく数値変換されず、過剰投与されてしまったのです。」

モンタナさんは次のように付け加えました。最初に注射した人物とはいまだに話すことができていません。フォローアップ来院のとき、別の人から注射されましたが、最初の注射が間違った部位にされた可能性があると言われました。残念ながら、診療所から当初は誠意ある対応がなく「よくあることで多くの人は気にしないものだ」と伝えられました。最終的には全額返金に応じてくれましたが。」

形成外科医の見解

専門家の意見として、シティ・フェイシャル・プラスチックスを開業しているニューヨークの形成外科医、Dr.ゲイリー・リンコフに話を聞きました。Dr.リンコフは次のように語ります。「確かに同様の話はよく聞きます。ボトックスによって笑顔が失われ、もうボトックス注射はコリゴリだと訴える患者さんがいます。こういった後遺症が発生する原因は、神経毒の間違った選択および不適切な注射にあります。例えば、ディスポートはボトックスなど、他のオプションよりも拡散しやすいことが知られています。咬筋(咀嚼筋の一つ)に使用するならディスポートではなく、ボトックスが正しい選択です。咬筋の最も厚い部分をよく注入されがちですが、この部位は笑筋に近すぎるため笑顔を失う最大の原因となるのです。」

幸いなことにトンネルの終わりには光があるとDr.リンコフは話します。「使用する種類に関わらず、神経毒の影響が消えるには通常3〜4ヶ月かかります」と彼は言います。 「彼女の注射は2ヶ月前に行われたので、これから1~2ヶ月で通常の状態に戻るでしょう。」

将来の治療に関して、Dr.リンコフは次のように付け加えます。「顔の解剖学的構造と各種の神経毒の違いを完全に理解して、正しく注射できる担当者がいるクリニックを選ぶことに時間をかけてください。具体的には、顔のスリミング目的で咬筋に注射することに慣れているか、経歴を確認してください。もし経験豊富なら、顎関節症緩和の注射を問題なくできるでしょう。」

警鐘を鳴らした意義

「私と同様のケースが頻発していることを今回学びましたが、後遺症を公にする人はほとんどいません。口にするのが恥ずかしいからでしょうね。」とモンタナさんは話します。「自信家だと自負していた私も、さすがに笑顔を失ったことは想像以上に性格に影響を与えました。救いとしては、後遺症が一時的で以前の笑顔は取り戻せるということです。神経毒の注射によって起こるべきリスクに関して警鐘を鳴らしたことへの感謝の言葉をこれまでたくさんいただきました。顔をさらしたことも悪くなかったかな、と思っています。」

〔※編集注:この記事は情報提供を目的としたものであり、医学的アドバイスではありません。個別のケースにつきましては医師にご相談ください。〕

引用元
https://www.buzzfeed.com/farrahpenn/tiktok-botched-botox-smile-tmj?origin=tuh

監修・まとめ

藤原 邦康
カイロプラクティック・オフィス オレア成城 院長
米国公認ドクター・オブ・カイロプラクティック
一般社団法人日本整顎協会 理事
カリフォルニア州立大学卒業
カリフォルニア州立大学(映画専攻)卒業後、CG映像の制作に携わった後、米国ライフウェスト・カイロプラクティック大学へ転進。2004年 米国ライフウェスト・カイロプラクティック・カレッジ卒業2006年 カイロプラクティック・オフィス「オレア成城」開院。2016年日本整顎協会設立。
顎関節症に苦しむアゴ難民の救済活動に尽力。噛み合わせと瞬発力の観点からJリーガーや五輪選手などプロアスリートのコンディショニングを行なっている。格闘家や芸能人のクライアントも多数。

【メディア取材】
「あさイチ」(NHK)、「とくダネ!」(フジテレビ)、「Tarzan」(マガジンハウス)、「からだにいいこと」(祥伝社)、「日刊SPA!」( 扶桑社)、「おはスタ」(テレビ東京)ほか

【執筆】
サライ(小学館)
「自分で治す!顎関節症」(洋泉社)Amazonベストセラー1位
「体の理を生かすカイロプラクティック」(科学新聞社)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次